今回は趣向を変えまして、新しい試みをしてみたいと思います。
その名もカービューティープロ実験室。
実はこういう表に出ない実験や検証をひたすらしているのが、このブログの作者です。
今回のテーマは、「透明遮熱フィルムの性能の限界を突破する」です。
まずは遮熱フィルムの前に、基礎となる赤外線や紫外線、可視光線について説明したいと思います。
可視光線とは、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長のもの。いわゆる光のことで、可視光ともいう。可視光線より波長が短くなっても長くなっても、ヒトの目には見ることができなくなる。(Wikipediaより抜粋)
可視光線のみが人間の目で確認することができ、それは虹の色と同じです。
紫、青、水色、緑、黄、橙、赤
この波長よりも短くても長くても人間には見ることができないのです。
紫よりも外側の波長を、漢字もそのまま「紫外線」と呼び、
赤よりも外側の波長を、「赤外線」と呼びます。かなり単純なネーミングセンスです。
「紫外線」はご存知の方も多いと思いますが、肌に対してかなりのダメージを与えます。
日焼けやシミ・ソバカスの原因ですね。女性の大敵です。
「赤外線」は今回の主役の話です。熱を伝えるのが赤外線であり、紫外線を99%カットしたとしても、赤外線をカットしなければ熱を遮断することはできないのです。
透明遮熱フィルムはこの「紫外線」と「赤外線」をカットしつつ「可視光線」をカットしない、つまり透明である役目を担っています。
フロント3面のガラスは法律で透過率70%以上であるように定められており、フィルムを貼る場合はこの70%を切ってしまうと違反になります。
そのために可視光線だけはカットせずに、貼っても分からないような透明度のあるフィルムでないといけないのです。
しかし、問題なのがこの赤外線カット。
これは製品それぞれによってカットする波長域が違います。
つまり完全にカットすることはできない。
それなら2重で貼ればどうなるのか。
というわけで3Mのクリスタリン90(900~1200nmの波長域をカット)を貼った上に、ウィンコスのIR90(1500~2200nmの波長域をカット)を右側に貼りました。
フィルムを貼った直後に即実験。2重で貼った分だけ、フィルムの乾燥がまだできていません。
しかし、ガラスの前に手をあててみると、明らかに左右で感じる熱さが違います。
お客様にご協力いただき、実車で実験を行います。
こちらのお車は、元々フロントドアガラスが79%とかなり高い。
助手席はクリスタリン90を貼りました。透過率は2%ダウン。
そして運転席にはクリスタリン90+ピュアカット89という3M製品の夢のコラボです。
ピュアカット89は透過率が落ちやすく、単体でも3~4%近く落ちる場合があります。
その分だけ赤外線カット性能は高いので、ベストはこの組み合わせですね。
しかし、最近のガラスは73~74%を切るのが普通なので、この組み合わせはできません。
だから体感機には、透過率の高いIR90を貼っているんです。
透明遮熱フィルムは単体ではなく、合わせ技でいくほうがより効果を発揮します。
これからお客様には、この2重貼り実験の経過を報告していただく予定です。